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2016.05.18 / BLOG デザインと開発(Design & develop of products) 

「デザインコンセプト」8 2WAY合理化の発想

春になるとお尻がムズムズしはじめて、どこか「お外」に出かけずにはいられない。その原因が、気温や湿度、陽の光、風などの外的要因なのか?それとも、体の中のバイオリズムや新陳代謝の程度のような生理的要因なのか?はたまた、幼少のころからの「刷り込み」や「楽しい体験」などの脳内記憶の蓄積なのか?
そんな理屈っぽいことは横に置いておいて、野山で遊ぶのは気持ちいいですね。
成人になると、「お酒の摂取効果」も加わり、休日の外出は楽しいものとなります。
最近は5LINKSも大活躍です。

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さて、前回までは全体的なお話でしたが、5LINKSでは、その機能的な部品に「新しいアイデア」が入り込んできます。今回は「2WAY シンプル化の発想」の話です。

折り畳むと「ゴルフバッグ」のような形状になり、「キャリーバッグ」「トロリーバッグ」のようにごろごろと転がして行く。というのが5LINKSの機能ですが、それを支えるために、色々な工夫がしてあります。

車体重量を軽くしたいことは、前回でも書きましたが、自転車は沢山の部品の集合体なので「軽い部材・部品」を使うという方法が一つあります。しかしこれには制約があります。すなわち、サドルにしてもクランクにしても、一般に軽いものは「コストが高い」のです。
カーボンやチタンのフレームを使ったり、上級の変速装置を採用すると、製造価格がどんどん上がって行きます。
そこで、デザイナー的には、デザインの工夫でそれを補えないかを考えます。

5LINKSでは1つの部品を2通りの使い方で使うことによって、デザインで軽量化と合理化を図っている所が複数あります。「2WAY化」のデザインと言っています。

 @ コロ
5LINKSでは、「デザインコンセプト」6で掲載した「タイヤ」などが一つの例です。
すなわち、折畳み自転車を畳んで転がす場合、付加物として「コロ」などの車輪を付けることが多く行われますが、これでは、この目的に「一つの道具」が使われてしまいます。「重量」が加算されるわけです。
5LINKSでは、自転車の車輪の両輪を折畳時の「コロ」として利用しました。
「タイヤ径」のところでも書きましたが、「コロ」は小さいより大きいものの方が「ころがし性能」も高いのです。

車輪

 @ 取っ手(Folding Handle Bar)
折畳んで押したり引いたりするためには「取っ手」がいります。
5LINKSでは、自転車として使う「ハンドルバー」を「取っ手」として使います。

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一方、折畳んだときの幅径を小さくするために、独自の折り畳み式のハンドルを採用していますが、左右両方ではなく、あえて幅径短小に効果のある左側だけを畳むようにしています。軽量化の為の工夫です。

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 @折畳み時の取っ手(グリップバー:Grip Bar)
折畳んで転がしていても、階段や部屋に持ち込むときには、車体を持たなくてはいけません。
その時に5LINKS1では少し苦労しました。5LINKS2は「グリップバー」と称した、「にぎり」のパイプを、フレームの中程に設定しました。
重心点が低くなるので、10kg程度の車体も、男の人であれば片手で保持ができます。

階段

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このバーは元々フレームの為の構造補強材でした。フレームは、BB(ボトムブラケット)のところに大きな力がかかりますので、通常のダイヤモンドフレームでは、「ダウンチューブ」「チェーンステー」の他に、「シートパイプ」の3本のパイプが接続しています。フレームの強度を保つためです。5LINKS2では、その役割の一端を「グリップバー」が担っています。

@両立スタンド(Dolphin stand)
普通の自転車として走っているときも、折畳んだときも、スタンドで自立したい。
そんな理由で、アルミ製の両立スタンドを、専用に作製しました。
普通の両立スタンドより、旋回の角度が大きいのです。
「一本足のバースタンドでいいじゃん」「ママチャリのスタンドみたいでカッコ悪い」などという評価もありますが、揺れる電車の中などでしっかりと自立する「機能」を優先しました。

両立スタンド

@2WAYキャリヤー(2way rear carrier)
5LINKSのコンセプトでは、「自転車には10kg程度の荷物を積んで、電車を利用しながら使用する」というようなイメージがありました。
ですから、5LINKS1にも「専用荷台」はあらかじめ設計の予定がなされていました。
その上で、「その荷物を、駅の改札前などでいちいち下すことなく積んだまま、輪行のポジションに入りたい」と考えました。
その結果、「折り畳み状態で、荷物を積んだキャリーカートのようになればいいな」というイメージが膨らみました。
そこで
・走行中に10kgの旅行鞄を無理なく積載する
・折りたたむと自立する脚となり、また自転車がキャリーカートになる
の2WAYに使える荷台を開発しました。

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しかし、実際に作ってみると、大きなな荷物が積めないことが判りました。なぜならば、小径の自転車は、タイヤ径が小さく、その直上に荷台があるので、ペダルを回転して自転車を走行していると、足の「かかと」が、幅広の荷物と干渉してしまうのです。
実際に、多くの小径車には荷台の設定やオプションがありますが、多くは「大きな荷物は積めない、A4のファイル程度の幅しか使用できない」現実があるのです。
そこで、5LINKS1ではもう一工夫して、幅の広い荷物を積載するときには、荷台面に傾斜するパーツ(「はしご消防車」のように傾き、荷物を積載する板)を付加しました。
泣く泣くの対処でした。しかし、これで幅広の荷物が容易に積載可能になりました。

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5LINKS2ではさらにシンプルに、荷台面本体が傾斜するようにデザインを改めました。
これで、常識的な「機能」と「軽量化」の両立ができました。

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その他にも、5LINKSを観察していただくと、いくつかの「2WAY」合理化のデザインが見つかると思います。機会があれば紹介しますが、もしよろしければ、探してみてください。

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