2016.07.04 / BLOG デザインと開発(Design & develop of products)
「日々是改善」(ひびこれかいぜん)3 ハンドルステム
わが町のアガパンサス
わが町のアガパンサス
「アガパンサス」。初夏の花だそうです。杉並の住宅街で、アジサイとともに最近盛んに植えられている花です。住宅50軒に一軒くらいは植えてるのでは?と思えるほどです。色も「青紫」「青」を中心として「白」や「赤っぽいもの」などがあります。
わが町では流行の花のようです。何故か、たいがいは家の正面に植えられていることが多いのです。
私はこの花の名前も形も知らなかった。私の子供のころには見なかったと思います。でも、どこかで見たなーという思いがありました。
「ヒガンバナ科」の多年草で、球根から育てるそうです。南アフリカ原産。
そんな思いで、写真整理をしていると、前回台湾出張をしたときに、南投の公園で咲いていたのを写した写真が出てきました。5月のことです。
南投市のアガパンサス(5月)
南投市のアガパンサス(5月)
取引先の会社の人が「きれいだろー、きれいだろー」と自慢するので、つられて写真を撮っていたのです。
「台湾では愛情花というんだ」と言っていました。「台湾原産の花か?」と聞くと、「輸入された花だ」との回答でした。
「アガパンサス」はギリシャ語のagape(アガペ 愛)とanthos(アントス 花)の2語の組み合わせが名前の由来で、ヨーロッパでの花言葉が「愛の花」ということだそうです。
たぶんそれを台湾の人は「愛情花」とのネーミングにし、現在の日本では「アガパンサス」の名前のままで、市場に出回っているようです。
別の和名は「ムラサキクンシラン(紫君子蘭)」と言いますが、この名前で呼ばれることは無いようです。クンシランは縁もゆかりもない別属の植物で、外見の特徴から付けられた和名のようです。
物を売る場合「ネーミング」は重要な要素ですが、日本では「和名」(輸入当初の人がつけたのでしょうか?)ではヒットせずに、「ヨーロッパ名」でブレイクしたようです。台湾では「花言葉の意味」が花の名になって、市場形成が進んでいるようで、
それぞれのお国柄を表しているようで面白いですね。
でも、日本の人も、台湾の人も、「きれいな花」であれば、それがどこ原産でもあまり関係ないようですねぇ。。
実際、育てている方で、この花が、どこから来た花か知っている人いるのでしょうか??
南アフリカの方、ゴメンナサイ。。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回は「ステム」です。
5LINKS2では販売当初、ハンドルステムを既製品で、突き出し量60mmのものを使用していました。
私が荒川のサイクリングロードを気持ちよく走行するのにちょうどよいポジション・長さ、ということで開発が進んでいたのです。
突き出し量60㎜ステム
しかし発売後に、お客様より「5LINKS1の時より、ハンドルまでの距離が長い」という意見を得ました。
その点に対しては、「既製品の短いステムを交換が可能」との返答をしていましたが、実際に日本の市場を見渡してみると、ハンドルバー直径25.4mmで、ステム径28.6mmの短い突き出し量のステムがあまり出回っていませんでした。
また、試乗会を行うと初心者の人が、漕ぎ出し時に「ハンドルにふらつきがある」とのご意見をいただきました。
実際その後に購入していただいた方に、リサーチをすると、「慣れてしまうと、ふらつき感は気にならない」との返答を得たりもしました。
その乗車フィーリングに個人差が大きいので、対策に苦慮しました。
当初はその乗り心地が、ヘッドアングルやオフセット量から来るものかを検証し続けていましたが、いろいろな試行錯誤の結果、
「ステムの突き出し量により、漕ぎ出しのドライブ・フィーリングが変わる」という結論が出ました。
すなわち、慣れない自転車で、腕に力を入れて(重心をのせて)漕ぎ出そうとする人ほど、ふらつき感は大きく、
また、多種類の自転車に乗りなれ、いわゆる「お尻で乗る」ことに慣れている人はふらつきが少ない。
ステムの突き出し量は少ないほど、ふらつき感が少なく、さらに、小柄の人だと、突き出し量が0やマイナス方向の方がふらつき感は少なくなることもわかりました。
そこで、突き出し量の少ない、ショートタイプのステムを入手しようと探し始めたところ、ハンドルバー直径が25.4mmのもので、台湾の既製品では適当なものが少なく、
もともとショートステムはオフロードバイク系の自転車で使用されることが多いためハンドルバー直径が31.8mm等太いものが多く、重量もがっちりとして重いものが多かったのです。
工場の方より、「仕方がないので、スペシャルのものを作ってしまいましょう」という提案を受け、
「それでは少量ですが、お願いいたします」と床に頭をこすりつけてお願いし、実際に作っていただきました。
何回かの試作後、スペックは、アルミ鍛造削り出しで、ステム径28.6mm突き出し量28mm、ハンドルバー直径25,4mm、重量120gとなりました。
小柄で握りまでの距離を短くしたい方にも有用ですし、5LINKSの「低速での癖」と言われたものも、一気に改善ができました。
現在の車両にはすべてこれが採用されています。
補修部品としての小売りも致します:6,000円(税抜)
Post Comment