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2016.04.24 / BLOG デザインと開発(Design & develop of products) 

「デザインコンセプト」5 走行の為のデザイン(タイヤ径)

街に本格的な「春」がやってきました。どちらを向いても住宅地の角々に植栽された「花々」が目を楽しませます。

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しかし私の眼は、空き地や、アスファルトの隙間から伸びる雑草の花々に注目します。

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種が風で飛んできて、誰が植えたわけでも無いようですが、そこに根付いた以上、はかない命であっても精一杯生きようとしている姿に「潔さ」「逞しさ」を感じます。
どういう訳か、その土地に適したような「小さく可憐」な花を咲かせます。その花になんとも言えない「愛らしさ」を覚えます。
当たり前の話ですが、人が見向きもしないような花でも、又、時には雑草としてむしりとられてしまうような花でも、ハナバチは忙しそうに蜜を吸い、受粉(世代交代)の手助けをしています。自然の仕組みは「適材適所」無駄が無く、寛容で、偉大ですね。

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さて、前回、5LINKSのアウトラインコンセプトを表記しましたが、各論です。

@5LINKSはママチャリと同等以上の走行性能をめざす:車輪径のデザイン

この事は、小径の、折り畳み車では、結構難しいと考えます。
5LINKSは折畳んで、小さくして保持する自転車です。
電車などの公共機関に積載する場合は、乗っている他の人に迷惑がかからないよう、小型の形状にまとまらなくてはいけません。
ドラえもんの「タケコプター」や「ローラーシューズ」ではないですが、畳んでポケットに入るくらいの大きさだったら便利だなという「小型化への夢のデザイン」は好奇心にあふれる頭の片方には、常に存在します。

タケコプター

ローラーシューズ

すると、必然的に、車輪はフルサイズの自転車よりも車輪の直径を小さく設定せざるを得ません。
A.ジャイロ効果
車輪を小さくすると、走行時の「直進安定性」が得にくくなります。
車輪は走行時、コマのような働きをします。「ジャイロ効果」などと言われます。回転すると鉛直方向に姿勢を保とうとする働きがあります。地球ゴマのようなものです。
自転車が面白い乗り心地の道具だと感じる一つの本質であり、運転になれると、そこそこのスピードで手放し運転が出来たりするのはこの効果のおかげです。

地球ゴマ

「ジャイロ効果」はコマが高速で回れば回るほど、もしくはコマの直径が大きいほど大きな効果が出ます。
自転車の乗り心地はその他にもいろいろなファクターに左右されますが、タイヤ直径は大きければ大きいほどふらつきが無く運転しやすい事になります。

一方、自転車の動力を伝えるのは人間で、主に「下肢」でペダルを漕ぐことになりますので、日本人の成人の平均身長が170cmで、現在の形状の自転車(ダイヤモンド型フレーム)形状であれば、よくある自転車のように、26-7インチ(66-70センチ)位の車輪径が合理的に、力を伝えることができる乗り心地の良いタイヤサイズとなります。

過去のチェーンと増速装置(ギヤ装置)が開発される前には、車輪の大きなオーディナリー型自転車等が作られました。チェーンや、増速ギヤの開発と共に歴史から消えていきますが、人類の歴史では、かなり大車輪径のものが作られていた時代があります。

オーディナリー自転車

B.路面状況と段差
もう一点、自転車が走行する路面には凸凹があります。
現在の日本では、ママチャリが走り回る路面状況は、ほとんどが舗装されています。
しかし、常用する路面には、「歩道の段差」というものが必ずと言っていいほどあります。

「歩道の段差を簡単に乗り越えられるか」
これも大きな問題です。

歩道段差

一般のママチャリが乗り越えられる「歩道の段差」でも、車輪径を小さくすると、難易度が増します。
「フロントリフト」(走行中、前輪を上げるテクニック)などを持っている人は、小径車等でも歩道の段差等はさしたる衝撃も無く乗り越えられますが、ママチャリドライバーであったら、極小径車(極端に車輪径の小さい自転車)は難しいかもしれない。

かような事情で、よく練り込まれたデザインとして、ママチャリの車輪径の設定がある以上、車輪径を小さくしていくデザインはリスクです。
もちろん、元々のコンセプトが「ママチャリ」を目指すのでないなら、その限りではありません。

「乗り心地の為になるべく大きな車輪径にしたい、しかし、収納性を考えると小さい車輪径の方が有利」
この範疇で、適正な大きさはどれか??を悩むわけです。

5LINKSはその点で一つの判断・決定をしました。
その要点とは、
「電車の中に、車体を引き入れた時に、ドア口の近くではなく、座席の方に引き込みたい」
「つり革を掴んだり、少し電車が空いているなら出来れば椅子に座ったりしたい」
と考えました。
その結果、
「折畳んだ時の形状を、ゴルフバッグや、キャリーカートのような形にしよう」

外人観光客

「両足で、車体を挟み込めばつり革を握れるのではないか?」
と言う所から、靴のサイズを基本に、車輪の直径を設定しました。

すなわち、日本人男性の脚のサイズは平均25-6cm、よって靴の外側の長さは約30cm。
前後に、少しはみ出たとして30-40cm位で良いのではないか?
・アジア人向けには35cm(14インチ)
・欧米人向けには40cm(16インチ)くらいが適当ではないか?

5LINKSが当初14インチ、輸出販売も視野に入れた5LINKS2では16インチ車輪径になったのは、こういった理由からです。

展示会などで、一般のお客様に、
「5LINKSは小径車だけど、日本でいうカテゴリーの最大直径である20インチ(451)は作らないのか?タイヤの選択肢が増したり、走行性能がもっと良くなるのでは?」
「極小径車ファンなので、8インチ位のものを作らないのか?形が面白いのでは?収納容積がもっと小さくなるのでは?」
等の、御意見をいただきます。

その都度、真摯に対応をしている次第ですが、かような質問は、現在の5LINKSの「設計のコンセプト」が変わるほどの問題なのです。

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