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がくアジサイ

梅雨ですね。
6月5日につづき、アジサイの話です。
近所のアジサイの花弁が散りはじめました。と思ったら、種類が違うらしいのです。
「ガクアジサイ(額紫陽花)」というのだそうです。
紫陽花は日本固有の品種だそうで、原種はこの「ガクアジサイ」や「ヤマアジサイ」(山地に自生するもう少し小型のもの)で
それを江戸時代の西洋人がヨーロッパに持ち帰って、いろいろな色や、てまり状に花が咲くように改良したんだそうです。
またまたそれを、近代の日本人も真似て、改良を繰り返し、多品種が出回っているのだそうです。
知らなかったー。
*ちなみに私が「花弁」と書いてあるものは、実は「装飾花」というもので、本当の花は中心部の小さなゴマのような部分です。

それにしても、私は子供の時から、カレンダーなどの挿絵の、花弁でいっぱいのアジサイを見慣れていたので、それがオリジナルだと思っていました。
さらによく調べると、上の「ガクアジサイ」も改良・または原種ではないようで、原種は先日写真をアップしたもの(花弁が4枚のもの)らしいのです。

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日本固有種に近い「ガクアジサイ」

一番上の写真は、静岡県で発見された、「伊豆の華」とか「城ケ崎」というものに近いのです。花弁が八重になっています。

いろいろな種類があるのだなーとびっくりです。

まだ、花弁いっぱいの紫陽花はピークの状態ですが、ガクアジサイは散りはじめています。花の期間も短いし、可憐な感じのアジサイですが、それを華やかな種類に改良したのが欧米人で、それが地球を一回りして、また、近代の日本人がそれを珍重し、改良を重ね、多品種のものが、私たちの市場に出回っているというのも、不思議で、面白いことだと思いまね。
お花の「グローバル化」ですね。

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「防水キャップ」
5LINKSのリアブレーキとリアディレーラーのワイヤーはトップチューブ前半から入って、後から出てきます。

8年前に5LINKS1の開発が始まったときには、2本のケーブルが同じ場所から入る、アルミ製で既製品の防水キャップがありませんでした。
そこで、簡単に選択できる方法として、トップチューブに楕円形の穴をあけ、それに適合する「ゴム製」の防水キャップを選択しました。

防水キャップ1
5LINKS1 ゴム製の防水キャップ

しかし、実際に組み上げてみると、キャップが外れやすいことが分かり、それではということで、トップチューブの入り口を、楕円のままにし、ケーブルが傷つかないように穴のヘリを「面取り」して使用することにしました。

防水キャップ2
5LINKS1 防水キャップなしの量産型

4年前の5LINKS2の開発では、ケーブルの穴から、チューブの内部に雨水が入る可能性を考え、また、ケーブルアウターが傷つく可能性考え、防水キャップを選択することにしました。
細かい話ですが、アルミ製の防水キャップはフレームに溶接して留めるので、穴のあけっぱなしより、フレームの強度の低下も防げるのです。
その当時、やはりアルミ溶接タイプの5LINKS2にちょうどいい「2本のケーブルが入る防水キャップ」がなく、泣く泣く「1本が入るキャップを2か所設けることにしました。
その際、トップチューブの片側に至近距離の2個の穴を開けると、パイプのスペース不足とフレーム強度不足の可能性が出たので、左右1個ずつ開けることにしました。

防水キャップ3
5LINKS2 初期型防水キャップ 1穴左右振り分け型

ケーブルワイヤーがフレームの左右から入り込むデザインでした。
しかし、販売してみると5LINKS2のヘビーユーザー(短期間に何千キロも走ったそうです)から、「左から入るケーブルのアウターが、頻回のハンドル旋回で、傷つく」という症例が出、改善をすることにしました。

そこで、いっそのこと5LINKS専用のスペシャルのアルミ製防水キャップを作ってしまおうということで、
軽量化と強度、5LINKSのケーブル挿入角度にちょうどいい穴角度のキャップをCNCで作りました。

防水キャップ4
5LINKS専用 防水キャップ

台湾で製造するメリットというのは、工場とのモチベーションがうまく取れれば、専用のパーツが比較的容易に開発できるところでもあります。それでも、少量生産の5LINKSでは、関係者に大変お世話になりますが・・・
日本でCAD図面を使って、CNCで作ることもできますが、大量に作る場合は別にしても、少量であればかなりのコストがかかります。
以前に記載したように、台湾で開発するということは、他の量産車にも使用できる可能性のあるパーツであれば、「アルミの加工工場さん」は喜んで?作ってくれるわけです。その代わりオープンモールド(公開され他社が使ってもいいパーツ)となりますが。
2010-11年度の台湾のパーツガイドには載っていなかったものが、
2015-6年度のパーツガイドでは、複数の企業で多種多様の「多穴のアルミ製防水キャップ」がカタログに載っている状況です。

防水キャップ5

もちろん全ては我々の開発したもののコピーというわけではありませんが、ほぼ同じころに、同じような要望を持つ顧客が存在したことが考えられます。
また、誰かがそれを作ってみて塩梅の良いものだと、いっきに多くの需要が生まれてしまう。そこで、製造基盤のある国が独占的に多品種のものを作り、あっというまに市場を席巻してしまう。
他の国は「この程度の技術のことはいつでも作ることができるよ」とタカをくくっている間に、市場そのものを構築できなくなる。
「インフラを取られる」ということのいい例だと思います。

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梅雨の合間の週末の夕方に、わが町 M町3丁目で美しい夕やけが見れました。
これがほんとの『ALWAYS 三丁目の夕日』かな、などと思って写真を撮りました。
何十年後かの記憶に、おぼろげにでも残るのでしょうか・・

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さて、「5LINKSは日々改善しています」情報をアップすることとなりました。
まずは、判りやすいところで、両輪留(WHEEL ROCK SYSTEM)のバネの改善です。
5LINKSの両輪留は、前後輪が同軸上で留まります。
そのために「磁石(マグネット)」や既製の簡単な「カップリング」を使用してはいません。
なぜならば、車体を折りたたんで、無造作に引き回し、さらに荷台に10kgの荷物を載せて、歩道の段差なども乗り越えられるようにしなくてはならなかったからです。途中で「ぱかっ」と外れてはいけないからなのです。

3年前、現在のモデルである5LINKS2発売する時、5LINKSの両輪止め機構は、わたくし称す「ひっかけタイプ」から、「板バネつまみタイプ」に変更しました。
それまで4年間続けた、5LINKS1の初代両輪止め機構は、一長一短があったと思います。

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初代5LINKSの両輪留システム

5LINKS1のものは、簡単なオス・メスのナットを、前フォークの「しなり」で「ひっかけて」留めるものです。
慣れると、ユーザーが立位の姿勢まま着脱ができる一方、位置の調整をうまくやらないと、前後方向には離脱することがある。
調整にもコツがいる。等の点がお客様評価でも気になりました。
この装置も、初期のものと後期のものがあり、ステンレスの塊なので、それなりに軽量化を図ったりしたものですが・・・

両輪留初期

初期タイプ

両輪留後期

後期タイプ

やはり、初心者の方(慣れない方)に対しての取り扱いが難しいのではないか?
ということで、5LINKS2では、機構自体を変えてみました。
すなわち、ガスホースの留め具から想起した、「ツマミ」をつまむことにより着脱を図る、「板バネつまみタイプ」にデザインを変更したわけです。

DSCN5790

視覚的になじみやすいものであれば、操作のイメージが初心者でもしやすいのでは?
という思いでした。

初期型を発売し始めると、お客様により、「板バネを使用中に変形がある」「黄色いツマミが外れてしまった」とのクレームをいただきました。走行に問題がある部品ではありませんが、折り畳み時の不具合として、症状が出たのです。
5LINKSの板バネは丸形をしており、板を丸めて形成してから、焼き入れ加工をし、弾性を作るのですが、その工程の関係で、あまり板厚を厚くすると、板が破断しやすいこともあり、初期には板厚を0.8mmとしていました。

この厚みの場合、頻回使用により変形が起きることがあり、また、熱処理のばらつきにより、破断しやすいケースもありました。そこで金型を作り直し、焼き入れ法に工夫を重ね、現在は板厚を1.0mmにし、また、ツマミの量(2つの黄色いキャップがついている角度)を狭角にしました。
また、ツマミはずれの問題に対し、板バネに外れ防止のスリットを入れました。
これにより現在ほぼ、問題は改善されたと考えております。

外見上はほとんど見分けはつきませんが:左:当初のもの 右:現在のもの
現在販売されているものは、全て厚板タイプが装着されています。
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このパーツは、補修品として販売もされています
希望小売価格
バネ本体ツマミ付き1000円(税抜)
両輪留ネジピンセット500円(税抜)
ツマミのみの購入も可能です
(H28/6現在)

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6月に入りました。
東京はもうすぐ梅雨に入ります。わが街の家々の庭先には、紫陽花が咲いています。
最近の「紫陽花」は、輸入の種類も多いようで、小ぶりのものから、大きなものまで、形やサイズにも、以前にはあまり目にしていなかったものも目につきます。

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家の周りの住宅地に咲いている「紫陽花」は、青いものが7割くらい、白に近いのが2割くらい、紫1割で赤色のものがほとんど見当たりませんでした。
確か中学校の理科授業で、「紫陽花の色は土壌の酸性アルカリ性で決まる」ようなこと習ったような気がして、「杉並の土地はアルカリ性なのかしら?」などと思い
インターネットで調べてみると・・・
酸性の土壌で育った紫陽花は「青」アルカリ性の土壌で育った紫陽花は「赤」の花をつけるのですって・・・そして中性は「青紫」・・
リトマス紙とは反対だったのですね・・・以外でした・・
近年の都市部の「酸性雨」などと関わりがあるのかしら?

また、咲いている最中にも紅葉のように色の変化もあるようです。虫のおびき寄せなど、生物学的に何かの意味があるのでしょうか?面白いですね。

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今回10回目を迎え、車体の「デザインコンセプト」のお話を最終にしたいと思います。
「5LINKSは日本独自のブランドにしたかった」というお話です。

5LINKSはほぼ15年ほど前に、着想と企画が始まりました。以前に書いたとおりの流れです。
当初「5LINKS プロジェクト」は「傘(KASA BIKE) プロジェクト」という名称で始まりました。

project start

以下、当時の開発企画書にあるネーミングの想いです。
ネーミングを「傘」とした理由は、
・日本発のデザインなので日本語(漢字)の名称にしたかった
・身近な用品として、「目的にあわせ携帯する」というイメージと重なるため
・「傘」のたたみ方になんとなく似るかもという想いから
・日本語として有名で簡単な単語だから
・「傘」と言う字のデザインが面白いから
・往年、「戦車」開発の秘話としてイギリスがドイツへの秘密を保持するため、タンク(給水車)とのコードネームで開発した事にもじって
・欧米等にもCASA(城)の同音語が存在するので
これらの願いをこめて命名しました。

当時の私は、このプロジェクトをもって「日本人が企画し」「日本人社会で使いやすく」「日本人の手で作られる」自転車としたかったのです。

私は、自転車の企画書と簡単な図と1/5模型をもって、当時自分で行くことのできる、国内の「自転車のフレームビルダー」、「自動車レース車体を製造する修理工場」、「アルミ製車いすメーカー」などをめぐりました。そして最終的には数年後、埼玉県坂戸にある「絹(シルク)自転車」製造会社にたどり着くのですが・・・

「日本発で日本人が日本人のために作った自転車」という「夢」ははかなかった。
当時の私は甘かったのです。
その時すでに日本は量産自転車の生産国ではなかったのです。
すなわち、一般車のフレームの溶接(特にアルミなど)をする量産工場が、ほぼ皆無でしたし、5LINKSで使用する部品に関しても、日本で製造されているものが少なかったのです。
もちろん私個人の小ロットの企画などを具現化していただけるOEMメーカーなども存在せず、日本は「自転車の市場(マーケット)」消費国であったわけです。

印象的な思い出は、とある日本のフレームビルダーにこの案件を持ち込むと、「あなた幾らお金を持っているのですか?うちはアルミはやってないから、外注になるし、1台試作車を作るだけでも価格が幾らになるかわからない」と返答されたこと。
日本のリムブランドの会社に電話をかけ、「試作車の14インチのリムを調達したいのだけれども」と質問すると、「いま日本では作ってないから、100本単位なら海外オーダーをかけられる」との返答を受けた時などです。

いろいろな経緯があり、現在の私の師匠である「絹自転車」のA氏に出会うと、
「「中国」か「台湾」でしかアルミ製折り畳み自転車の量産製造はできない」
とのアドバイスをいただき、彼の工場で鉄製の構造試作車を作ってもらった後に、「台湾・中国行脚」OEM工場探しを始めたのでした。着想から4年後、2006年頃の話です。

その時点で、「傘」プロジェクトの「日本で生産される量産自転車」の夢は、もろくも崩れ去ったのでした。
もちろん、当時、自分に自前の自転車工場を作ってしまうというくらいの投資力があれば、もしくは私がすでに実績のあるデザイナーで、運よく大手自転車企業等の協力が得られれば、別の結末があったかもしれません・・・

フレームの部材は(特にアルミ)はアジアではほとんど台湾や中国でしか、自転車用のパイプが調達できない。
企画が日本のメーカーであっても、量産品の殆どは国外の工場で生産されている。
パーツなどではブランド名が日本の名称でも、すでに、台湾資本などに買収され、「日本時代のブランド名」だけが残っている。よって企画も外国人主体によってなされている。
こんな現実を体感したのです。

自転車は、多くのパーツでくみ上げられている機械です。パーツの多くは海外製ですから「日本独自生産」ということは不可能なわけです。
しかし便法として
・パーツを海外から調達したけれども、完成車の組み上げを日本で行った場合(CKDで輸入生産)
は、[made in japan](日本国製造)という呼称をすることはできます。

自動車の「日産」や「トヨタ」でも部品の海外調達率上がっているはずですので、自転車の世界にかかわらず同様なグローバル化が起こっている訳です。
しかし自転車の場合は極端で、完成車の組み上げまでの一貫の工程が、ほとんど海外に移転されてしまったわけです。

製造コストの安い国に、製造インフラを取られる。
ピラミッドの底辺を経済法則の観点からのみ判断して一度安易に海外移転してしまうと、完成品までの工程も技術も全て海外に持っていかれてしまう。
過去には「世界一の自転車生産・輸出国」であった日本はその地位を失いました。
日本の自転車産業は、1980年のオイルショックを発端に、国の円高政策と、単なる自由経済法則の流れを安易に許すことよって、「世界一の自転車輸出国」のタイトルを「台湾」に「中国」に譲らざるを得なかったわけです。
これは日本に限ったことではなく、欧米のメーカー(ブランド)も同様な歴史をたどります。

面白いことに、この自転車業界で1980年に起こった流れを、「反省材料」として「国家単位の政策」に位置付け「真の国内産業の生き残りと育成」を研究し反映しなかった日本では、最近になって、「円高による、各産業の技術・工場の海外流出加速」や「大手家電製品メーカーの赤字や倒産」など、売上高では自転車業界とは桁違いの産業でも、同じような現象が起きており、巷で大きなニュースとなっています。
「国内産業の生き残・育成」と「経済的自由競争」のバランスを、資本主義経済の名のもとに国家単位で無策とした付けが回ってきており、国民の生産性やモチベーションの低下につながる原因となっているようです。
「モノづくり日本」と宣言するには、だれがどの程度の責任を持つべきか・・・

気持ちを入れ直し「台湾」の工場を訪れた私はびっくりしました。

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日本で「傘」を作ろうとしたときに、フレームに使用するアルミ管を選択しようとしたら、単純な「円管」と「角型管」しか調達できないであろうということでシンプルな車両デザインを描いていったのですが、実際フレーム製造工場に行くと、
工場の棚(幅10m高さ3mくらいでしょうか)に、無造作に何百種類という形のチューブ(トップチューブ、ダウンチューブ等)が刺さっていて、まるでミツバチの巣のような光景を見せられたのです。
そして係の人から、「好きなパイプを選んで」と言われたのです。
変わった形状の押し出し管やハイドロフォーミング技術などを使った管が選び放題で、曲げ加工や厚み、テーパーなどもお好みで変更が効くというのです。

また、スポーク張りの工場に連れて行ってもらうと、人海戦術で職人がスポーク張りをしていると想像していたら、「自動スポーク張り機」が広い室内に並んでおり、少ない作業人数で「ガチャン、プシュー」という単調なリズムで、続々と高級ホイール作りの作業が行われていたのです。
「生産国の強み」を実感しました。「日本」と彼の国の差を強く感じました。

そんな経緯で、5LINKS1は直ちに、「反り」のあるメインチューブのデザインに変更されました。

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私が日本人らしいと感じるデザインを、台湾の方が容易に実現してくれたのです!!

その時から、私の頭の中で考え方が少しづつ変わってきました。

「日本発のデザイン・製造」とこだわっていたことは何なのだろう??
また、そのことに何の効用があるのだろうか?

この思いは、台湾の方と接する都度、また、工場で5LINKSの企画が進むほど強くなっていきました。

そして、量産試作が完成し、発売の日程が明確になっていくに従って、少しずつ思いが固まってきました。

物を作る場合
「日本人」として「その土地に住んでいれば、そこの事情に合ったモノづくりをすることは、外国人よりも有利であろう」
それが「日本発」の本来的な意味であり、そこに「日本人らしいモノづくり」を反映させれば良いのではないか?
例えば、製品を海外で作ったとしても、国内で作ったとしても、操作性や、品質を消費国のニーズに合わせていかなくてはならない。最初は失敗もあるかもしれないけれども、地道に改良をして、品質を上げていく手法は、「日本人独特」の気質に基づいてはいないか?
ひいてはそれを作る海外の人にも、「日本人の物つくりの特性」を共有できるのではないか?

どこの国で仕事をしても、自分が「自分の思う日本人」らしさを主張し、話し合い続ければ、良い結果が生まれてくるのではないか?

そんなことを考えるようになりました。

そこで、販売に際し「傘 バイク」のネーミングを変更することとしました。
もちろん、日本人の協力者からも「傘?パッとしない名前だよね・・」「売りにくいのじゃないの?」などと言われたりもしたのですが・・・
また、台湾・中国人は「傘」を音読みで「サン」と読みます。その読みが「散る」(サン)と重なるので、人にプレゼントするときに不吉な「傘」は絶対に贈らない、という話にも影響されたような気がします・・・

「電車」「バス」「飛行機」「船」「徒歩」の移動手段との併用を前提に
「アジア」「アメリカ」「ヨーロッパ」「オセアニア」「アフリカ」5つの大陸を自由に移動できる移動体
をモットーに「5LINKS」(ファイブリンクス)という名前に変更されましたが、
もう一つ、
「日本人」に限らない5大陸の人「たくさんの民族」と共同で作り上げる、もしくは「いろいろな国の人と」交わることのできる
という意味も込められていたのです。

五輪図

こんな思いが、現在の5LINKSのコンセプトになっています。

5LINKSのフレームの下面、BB(ボトムブラケット)シェルには、「MADE IN TAIWAN」の文字が、差し色と同じ配色で明瞭に印刷されています。
その下の車体番号のほうが刻印で目立たないほどです。

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日本発のデザインだって、台湾の人々が一生懸命 具現化してくれたのですから、はっきりと表示をしたかったのです。

しかし、いつの日かチャンスがあれば、「日本国内で作品を製造してみたい」という思いも、ふつふつと心の底に流れてはいるのですが・・・・

 

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ようやく平和な週末がやって来ました、と思ったら、飼い犬(老犬)の調子が悪く、看病で自宅を一歩も出られません。
東京のお外は多少の雲はありますが、朝から爽やかで風の気持ちいい一日です。
アパートからの眺めは、とりわけどうといったことのない平凡な都会の風景ですが、緑と空、そよぐ風を感じるだけでも癒されます。

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先日、日本自転車普及協会様からのお誘いで、新宿の展示試乗会・サイクルドリームフェスタに参加させていただきました。下部団体である、自転車文化センターは目黒にあり、自転車に係る多くの資料文献がございます。一般の利用が可能で、自転車好きの方々の他にも、このような施設がある日本は幸せな国と考えます。
http://www.bpaj.or.jp/ 日本自転車普及協会
http://www.cycle-info.bpaj.or.jp/ 自転車文化センター

自転車のフレームデザインに係る歴史的な変遷を調べたく、簡便にウェブサイトを調べてみました。
引用をしようと思いきや、同様の団体で、日本自転車文化協会という所にも多くの写真資料があり、こちらも併せて引用させていただきました。

前の回にも少し触れましたが、自転車の原型は1700年代の後半にヨーロッパで発生し、貴族の玩具として馬・動物を模した形に車輪を付けたものでした。その黎明期にはドライジーネと言われるキックバイクタイプの自転車、ミショータイプと言われる、前輪にペダルのある自転車(現在の三輪車様駆動部)、前輪が大きくなったオーディナリーの自転車等、道具としての進歩・考案に合わせ、色々なフレームタイプの自転車が生まれては消えました。

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1791年フランス製 キックバイク様自転車

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1817年ドイツ製 ドライジーネ 方向舵付キックバイク様自転車

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1867年フランス製 ミショータイプ 前ペダル自転車

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1870年イギリス製 オーディナリータイプ 増速装置付き前ペダル自転車

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1879年イギリス製 セーフティー型 前ギアと後ギアをチェーンで結ぶ駆動方式

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現代的セーフティータイプ自転車

このような足跡をたどり現代の自転車のデザインの元祖ができたのは、約100年後の1890年前後となります。また、1888年、アイルランドのダンロップが空気入りタイヤを発明すると、その乗り心地とスピード感の良さ及び、道路の整備(インフラ整備)発展から、自転車の普及が爆発的に増えて行ったそうです。

歴史を振り返ると、自転車のフレームデザインとは、木製手作りからパイプ(鋼管)という、量産に適した部材を得、人間の乗車姿勢と、主に駆動部の進歩により、そのフレーム形状が決まって行った。ということが判ります。
面白いのは、上記写真の1879年セーフティータイプ自転車では現代とほぼ同じ駆動部分が採用されていますが、まだ、シートパイプが欠落しています。
ペダル部分に大きな力がかかり、それを補強をする意味で、その後しばらくして現代にも通じる、前三角(トップチューブ、ダウンチューブ、シートパイプ)と、後ろ三角(チェーンステーとシートステー)を加えたダイヤモンド型フレームが、一番合理的形状となっていった経緯が判ります。

当時は、CADなどの製図機械や、フレームの剛性・強度を予想検証する装置も無かったでしょうから、設計者の直感で、現物を作っては、実際に乗ってみて、試行錯誤の繰り返しにより、時間をかけて
「壊れず頑丈」「軽量」で「作りやすい」デザインに煮詰められていった、と考えられます。

今回この題材を挙げたのは、私がこの歴史を再読してみて、
「現在の自転車のフレームデザインは、その後すでに100年以上たった現代まで基本的な変化がなかったんだー」
という感嘆からです。

ご存知のように、ツールドフランスやオリンピックをはじめとする、最新の自転車を使用する競技の世界でも、フレームの材料に関しては、鉄からアルミニューム、カーボンファイバーなどの変遷が見られますが、構造上のデザインには基本的に変化が無いのです。

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ここ100年間以上、「歴史に残るデザイン」をしていた自転車のデザイナーたちの仕事は、基本的ダイヤモンド型フレームというアウトラインの上で、素材であるとか、パイプの角度、接合位置、接合方法など、小さい部分の「改善」「蓄積」をしてきた歴史だったのでした。

現代に入り、フレーム素材が「鉄管」「鉄合金管」から、「アルミニューム管」、アルミニュームでも管の造形を比較的自由に作れる「ハイドロフォーミング管」、さらには、「カーボンファイバー」による量産工法が出現しました。
また、自転車の使用用途も、単に「道」を走る物から、野山を走れる「マウンテンバイク」が出現し、オートバイに倣ったサスペンションシステムを使ったものが量産されるようになったり、仰向けの乗車姿勢で走る「リカンベント」タイプの自転車などが市場参入しました。
それに従って車両のフレームデザインは、市場の中で多様化の様相が出てきました。

フレームの素材、パイプや部品のスペックに多様性が出てくると、「折り畳みの自転車」のデザインにも影響し、面白い姿の自転車が市場に投入されるようになります。

ある意味では、デザイナーが思うままの「面白い」デザインを作ることが容易な時代になってきたのです。

そのような中で、どのような自転車のデザインをするのか?
これは、デザインをする人のその自転車に対する「コンセプト(概念)」が大きく反映してくると考えます。
・ユーザーの見た目に面白い物を作りたいのか?
・折り畳みが「ギミック」というものを目標にするのか?
・サイズにこだわるのか?
・重さにこだわるのか?
・速さにこだわるのか?
・使い方にこだわるのか?

5LINKSでは、従前の「デザインコンセプト」のストーリーに従って、
「求める機能に対し形を付与する」という歩みを続けてきたので、現在そのフレームの形はオーソドックスな、ダイヤモンド型フレームを採用してしまいました。

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市場にありふれる「平凡なデザイン」の価値は如何なものでしょうか?
「デザイン」をするとはどういう事か?「デザイナー」は何を作るべきか?
日々、自らに課せられる「問い」です。

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春になるとお尻がムズムズしはじめて、どこか「お外」に出かけずにはいられない。その原因が、気温や湿度、陽の光、風などの外的要因なのか?それとも、体の中のバイオリズムや新陳代謝の程度のような生理的要因なのか?はたまた、幼少のころからの「刷り込み」や「楽しい体験」などの脳内記憶の蓄積なのか?
そんな理屈っぽいことは横に置いておいて、野山で遊ぶのは気持ちいいですね。
成人になると、「お酒の摂取効果」も加わり、休日の外出は楽しいものとなります。
最近は5LINKSも大活躍です。

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さて、前回までは全体的なお話でしたが、5LINKSでは、その機能的な部品に「新しいアイデア」が入り込んできます。今回は「2WAY シンプル化の発想」の話です。

折り畳むと「ゴルフバッグ」のような形状になり、「キャリーバッグ」「トロリーバッグ」のようにごろごろと転がして行く。というのが5LINKSの機能ですが、それを支えるために、色々な工夫がしてあります。

車体重量を軽くしたいことは、前回でも書きましたが、自転車は沢山の部品の集合体なので「軽い部材・部品」を使うという方法が一つあります。しかしこれには制約があります。すなわち、サドルにしてもクランクにしても、一般に軽いものは「コストが高い」のです。
カーボンやチタンのフレームを使ったり、上級の変速装置を採用すると、製造価格がどんどん上がって行きます。
そこで、デザイナー的には、デザインの工夫でそれを補えないかを考えます。

5LINKSでは1つの部品を2通りの使い方で使うことによって、デザインで軽量化と合理化を図っている所が複数あります。「2WAY化」のデザインと言っています。

 @ コロ
5LINKSでは、「デザインコンセプト」6で掲載した「タイヤ」などが一つの例です。
すなわち、折畳み自転車を畳んで転がす場合、付加物として「コロ」などの車輪を付けることが多く行われますが、これでは、この目的に「一つの道具」が使われてしまいます。「重量」が加算されるわけです。
5LINKSでは、自転車の車輪の両輪を折畳時の「コロ」として利用しました。
「タイヤ径」のところでも書きましたが、「コロ」は小さいより大きいものの方が「ころがし性能」も高いのです。

車輪

 @ 取っ手(Folding Handle Bar)
折畳んで押したり引いたりするためには「取っ手」がいります。
5LINKSでは、自転車として使う「ハンドルバー」を「取っ手」として使います。

ハンドル1

一方、折畳んだときの幅径を小さくするために、独自の折り畳み式のハンドルを採用していますが、左右両方ではなく、あえて幅径短小に効果のある左側だけを畳むようにしています。軽量化の為の工夫です。

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 @折畳み時の取っ手(グリップバー:Grip Bar)
折畳んで転がしていても、階段や部屋に持ち込むときには、車体を持たなくてはいけません。
その時に5LINKS1では少し苦労しました。5LINKS2は「グリップバー」と称した、「にぎり」のパイプを、フレームの中程に設定しました。
重心点が低くなるので、10kg程度の車体も、男の人であれば片手で保持ができます。

階段

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このバーは元々フレームの為の構造補強材でした。フレームは、BB(ボトムブラケット)のところに大きな力がかかりますので、通常のダイヤモンドフレームでは、「ダウンチューブ」「チェーンステー」の他に、「シートパイプ」の3本のパイプが接続しています。フレームの強度を保つためです。5LINKS2では、その役割の一端を「グリップバー」が担っています。

@両立スタンド(Dolphin stand)
普通の自転車として走っているときも、折畳んだときも、スタンドで自立したい。
そんな理由で、アルミ製の両立スタンドを、専用に作製しました。
普通の両立スタンドより、旋回の角度が大きいのです。
「一本足のバースタンドでいいじゃん」「ママチャリのスタンドみたいでカッコ悪い」などという評価もありますが、揺れる電車の中などでしっかりと自立する「機能」を優先しました。

両立スタンド

@2WAYキャリヤー(2way rear carrier)
5LINKSのコンセプトでは、「自転車には10kg程度の荷物を積んで、電車を利用しながら使用する」というようなイメージがありました。
ですから、5LINKS1にも「専用荷台」はあらかじめ設計の予定がなされていました。
その上で、「その荷物を、駅の改札前などでいちいち下すことなく積んだまま、輪行のポジションに入りたい」と考えました。
その結果、「折り畳み状態で、荷物を積んだキャリーカートのようになればいいな」というイメージが膨らみました。
そこで
・走行中に10kgの旅行鞄を無理なく積載する
・折りたたむと自立する脚となり、また自転車がキャリーカートになる
の2WAYに使える荷台を開発しました。

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しかし、実際に作ってみると、大きなな荷物が積めないことが判りました。なぜならば、小径の自転車は、タイヤ径が小さく、その直上に荷台があるので、ペダルを回転して自転車を走行していると、足の「かかと」が、幅広の荷物と干渉してしまうのです。
実際に、多くの小径車には荷台の設定やオプションがありますが、多くは「大きな荷物は積めない、A4のファイル程度の幅しか使用できない」現実があるのです。
そこで、5LINKS1ではもう一工夫して、幅の広い荷物を積載するときには、荷台面に傾斜するパーツ(「はしご消防車」のように傾き、荷物を積載する板)を付加しました。
泣く泣くの対処でした。しかし、これで幅広の荷物が容易に積載可能になりました。

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5LINKS2ではさらにシンプルに、荷台面本体が傾斜するようにデザインを改めました。
これで、常識的な「機能」と「軽量化」の両立ができました。

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その他にも、5LINKSを観察していただくと、いくつかの「2WAY」合理化のデザインが見つかると思います。機会があれば紹介しますが、もしよろしければ、探してみてください。

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ようやくゴールデンウィークの期間が終わりました。
展示試乗会などの合間をぬって家族サービスです。
この時期は、毎年南房総で「田植え」です。
最近では、地方の農業用道路もほとんどが舗装され、自家用車に積載した5LINKSも、畦道には入りませんでしたが、小回りよく活躍しました。

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田植え

前回で、折畳時の車体の形状が決まりました。
ではどうやってその形状にするか??
畳むとゴルフバッグのような形にするためには
展開時の車両の、どこかの場所に「蝶番」を使用して畳む、と言う事になります。
私の印象としては、第一に、
・「軽量にしたい」
・「フレームを折りたくない」
・「なるべく折る部分を少なくしたい」という願望がありました。
なぜならば、今までの多くの折り畳み自転車に反省を感じていたのです。

小径折畳車は「車輪が小さく可愛らしい」というイメージを持ちます。
しかし、小さくてかわいらしいので「軽いだろう」と思いきや、
同じタイヤ径の展開されたままの自転車よりも「重い」のが常です。

当たり前の話なのですが、折畳むために「蝶番」を備えると、
・その部品の分重い
・折り畳み部分の剛性(強度)を確保するために、周囲の部材が厚く重くなる
と言う制約がかかります。また、折り畳み部分を作ると、工作の精度も要求されます。

すなわち、小径の折り畳み自転車はその見た目に従い「可愛くて、軽い」のではなく
折畳を複数・複雑にすればするほど、「重く」「剛性が低下し」「乗り心地が低下」する傾向があります。
また、「デザインコンセプト5」でもあるように、タイヤが小さい事も災いして、
乗り心地の為の設計の自由度が少ないという素地もあります。

乗用車の開発でも同じようなことが言え、クローズドボディーの車より、屋根の畳めるコンパーチブルの車の方が、一見、「軽やかで」「爽快な」イメージがありますが、その構造ために、重量が重く、また剛性も低下する傾向にあります。
「爽快感」を演出するために、オープンカーを設計し、製品化している技術者は、大変な苦労をしているのだなあと感じます。

コンパーチブル

折畳み自転車のデザインポリシーは、「艦載戦闘機」のデザインコンセプトにも重なるところもあると考えます。
先の大戦で、航空機どうしの戦闘は、戦場の勝敗を決定する大きな役割を果たしました。太平洋上で激突した日米では、「航空母艦」と言う「船」に「戦う折畳み飛行機」を積載して、戦場まで運びました。その際、両国の艦載機のデザインコンセプトには大きな差がありました。

アメリカは、母艦に積む戦闘機の積載率を上げるため、大胆な主翼の折り畳み方を採用しました。「戦場に大量の兵器を効率よく輸送する」目的です。
設計の主眼を何とするか、という点でとても合理的な発想です。
主翼の根元に「蝶番」を設定し、翼を鳥の羽のように3次元的に折りたたみました。
畳むと「セミ」のような形になるので、格納庫に沢山の数を積み込むことができました。

F6F-5-1
F6Fヘルキャット(米)

一方、飛行中に大きな力がかかる翼の根元に蝶番を設定したので、胴体と翼の主桁を頑丈にし、さらに防弾装備を装着した結果、機体の重量は増加しました。それに対し、大径の馬力の大きなエンジンを採用し、得られたパワーと大きな増装タンクで性能(速力、航続距離)及び、防御力を補いました。
外見は大振りで力強いデザインです。
「多少の重さには目をつぶり、パワーでねじ伏せる」アメリカ人らしいデザインです。
主力のF6Fでは出力は2000馬力で、重量は4200Kgでした。

一方、当時の工業力から、出力の大きなエンジンを持たない日本は、限られた条件の中で、性能(速力、旋回性、航続距離)を優先した結果、極力軽量で、主翼に肉抜きをした細い桁を多く設定し、また翼中に大きな燃料タンクを設けたデザインを採用しました。その結果、主翼の折り畳み部分は翼端のわずかな部分となりました。
ですから折畳時の母艦への積載性や、飛行機の防御力などは犠牲となったデザインでした。
ゼロ戦21型で 出力は940馬力、重量は1750kgでした。
少数精鋭で技量優秀なパイロットの望む軽快な操縦性(格闘性能)や作戦上の航続距離を重視したのでした。

ゼロ戦
零式艦上戦闘機21型(日)

折畳み自転車は(電動アシストは除き)基本的に「人力」で動くので、出力が一定と考えると、車重は軽い方が軽快な乗り心地になりますが、
特に日本人が「最軽量や軽快な乗り心地」を好むユーザーの多いのは、古くから伝わる、日本人独特の嗜好かもしれません。
他方「最小になる」や「最速」という「スペック」の訴求にも強い関心を示すようにも思います・・・

5LINKSでは、「基本的に転がして運ぶ」と言う所から「最軽量」を、また、「ママチャリを目指す」と言う所から「最速」を、さらに、縦にゴルフバッグ形状になると言う所から「最小になる」という条件は外していますのが、
・シンプルで軽く、軽快な乗り心地の自転車
にはしたかったのです。

色々と思考した結果、通常の自転車のホイールベース(前後車軸間距離)がほぼ1m、一般車のハンドル高が1mと言う事から、
ヘッドの部分に蝶番を設定し、両輪をまとめるアイデアとなりました。

折畳み
折り畳み方

折畳蝶番のデザインは、紙上の案や、ボール紙やプラスチック、CADなどを使い順列組合せで30-40種類くらいの仕組みが出ましたが、現在のデザインにまとまるまで、数か月を要しました。

ヘッド開発
ヘッド蝶番の試作案

そして、特許の申請、構造試作車へとデザインは進みました。

構造試作車
構造試作車

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日本はゴールデンウィークです。関東地方の南房総では、早くも田植えのシーズンです。「米作り」のNPO参加も8年目に入りました。水温む棚田の中に「田植え足袋」で入る感覚はとても気持ちが良いので癖になります。今年は5LINKSも参加です。田んぼの周囲を走るのは快適でしたが、作業中はずっと中腰で苗を植えたので、後日とっても足腰の痛いことになりました。

IMG_1169

FullSizeRender

今回は、折畳み時の外形デザインの話です。
タイヤサイズは、決定しましたが、フレームの形状・折畳時の形状をどうするか?

大枠のデザインはすぐに決まりました。
実際に、電車に乗り込む場合、「ゴルフバック」や「トロリーバッグ:trolley bag」の形状になるものが一番便利であろうと言う事は、「旅行用バッグ」のデザイン進化の過程からも、容易に推察できました。
要は、「皆が電車に乗せる時に載せやすい物の形状が良いであろう」と言うほどの事です。

もちろん、開発前に何種類か試した「折り畳み自転車の扱いづらさ」、はほとんど、この点にありました。すなわち、「収納性」に重点を置いたものが多いので、小さくはなりましたが、公共交通機関に持ち込みづらかったのです。

ゴルフバッグ・トロリーバッグ

自転車は10kg内外もある道具なので、折り畳み中の移動を考える場合、できれば、担ぐことなくトロリーバッグのように転がして移動したい。

その為には、別にキャスターを付けるか、車輪を「キャスター代わり」に使うか?
余分な付加物は、重量増加の要因なので、同じ部品で、2通り3通りに利用できるものは、なるべく共用して利用しよう。と言う発想が出てきました。
今から考えると「5LINKSデザインの特徴である2WAY発想」です。

そんなことで、通常走行に使用するタイヤ前後輪を、折畳移動時の「キャスター」として利用するために、折畳時に両輪を平行にまとめることを考えました。

ここで、折畳時の外形寸法の設定を行いました。
奥行:車輪径35-40cmで奥行は決定しました。
全高:畳んだときの高さは、90cmから最大でも105cm。
余り低すぎると、移動時に掴みづらい。
また、身長170cmの私が、電車の椅子に着座したときに、視界を妨げないサイズが105cmでした。
全幅:両輪を重ねた場合、片持ちハブなどを使用すれば両輪を重ねた部分の幅(両車軸幅の総和)は、20-25cm、通常の両持ちハブを使い両輪を重ねた場合の幅は軸長から約30-33cmとなります。
しかし、クランクとペダルは左右対称でフレーム中心より、それぞれ15cm(合計30cm)は飛びだすので、脱着ペダルを使用しなければ、片持ちハブの選択はあまり効果を持たない。
また、実際に、両足で自転車を挟んで保持する場合、問題となるのは両車輪(タイヤ)のフットプリント(占有面積:約20cm)だけが問題となるので、スペック上の全幅はさほど大きな問題ではない、と言う事で、前輪だけハブ幅の短い物(OLD68mm)を利用し、後輪は多段化などの汎用性を考え、OLDは135mmと設定しました。
下のようなイメージの外観です。

概形デザイン

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街に本格的な「春」がやってきました。どちらを向いても住宅地の角々に植栽された「花々」が目を楽しませます。

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しかし私の眼は、空き地や、アスファルトの隙間から伸びる雑草の花々に注目します。

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種が風で飛んできて、誰が植えたわけでも無いようですが、そこに根付いた以上、はかない命であっても精一杯生きようとしている姿に「潔さ」「逞しさ」を感じます。
どういう訳か、その土地に適したような「小さく可憐」な花を咲かせます。その花になんとも言えない「愛らしさ」を覚えます。
当たり前の話ですが、人が見向きもしないような花でも、又、時には雑草としてむしりとられてしまうような花でも、ハナバチは忙しそうに蜜を吸い、受粉(世代交代)の手助けをしています。自然の仕組みは「適材適所」無駄が無く、寛容で、偉大ですね。

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さて、前回、5LINKSのアウトラインコンセプトを表記しましたが、各論です。

@5LINKSはママチャリと同等以上の走行性能をめざす:車輪径のデザイン

この事は、小径の、折り畳み車では、結構難しいと考えます。
5LINKSは折畳んで、小さくして保持する自転車です。
電車などの公共機関に積載する場合は、乗っている他の人に迷惑がかからないよう、小型の形状にまとまらなくてはいけません。
ドラえもんの「タケコプター」や「ローラーシューズ」ではないですが、畳んでポケットに入るくらいの大きさだったら便利だなという「小型化への夢のデザイン」は好奇心にあふれる頭の片方には、常に存在します。

タケコプター

ローラーシューズ

すると、必然的に、車輪はフルサイズの自転車よりも車輪の直径を小さく設定せざるを得ません。
A.ジャイロ効果
車輪を小さくすると、走行時の「直進安定性」が得にくくなります。
車輪は走行時、コマのような働きをします。「ジャイロ効果」などと言われます。回転すると鉛直方向に姿勢を保とうとする働きがあります。地球ゴマのようなものです。
自転車が面白い乗り心地の道具だと感じる一つの本質であり、運転になれると、そこそこのスピードで手放し運転が出来たりするのはこの効果のおかげです。

地球ゴマ

「ジャイロ効果」はコマが高速で回れば回るほど、もしくはコマの直径が大きいほど大きな効果が出ます。
自転車の乗り心地はその他にもいろいろなファクターに左右されますが、タイヤ直径は大きければ大きいほどふらつきが無く運転しやすい事になります。

一方、自転車の動力を伝えるのは人間で、主に「下肢」でペダルを漕ぐことになりますので、日本人の成人の平均身長が170cmで、現在の形状の自転車(ダイヤモンド型フレーム)形状であれば、よくある自転車のように、26-7インチ(66-70センチ)位の車輪径が合理的に、力を伝えることができる乗り心地の良いタイヤサイズとなります。

過去のチェーンと増速装置(ギヤ装置)が開発される前には、車輪の大きなオーディナリー型自転車等が作られました。チェーンや、増速ギヤの開発と共に歴史から消えていきますが、人類の歴史では、かなり大車輪径のものが作られていた時代があります。

オーディナリー自転車

B.路面状況と段差
もう一点、自転車が走行する路面には凸凹があります。
現在の日本では、ママチャリが走り回る路面状況は、ほとんどが舗装されています。
しかし、常用する路面には、「歩道の段差」というものが必ずと言っていいほどあります。

「歩道の段差を簡単に乗り越えられるか」
これも大きな問題です。

歩道段差

一般のママチャリが乗り越えられる「歩道の段差」でも、車輪径を小さくすると、難易度が増します。
「フロントリフト」(走行中、前輪を上げるテクニック)などを持っている人は、小径車等でも歩道の段差等はさしたる衝撃も無く乗り越えられますが、ママチャリドライバーであったら、極小径車(極端に車輪径の小さい自転車)は難しいかもしれない。

かような事情で、よく練り込まれたデザインとして、ママチャリの車輪径の設定がある以上、車輪径を小さくしていくデザインはリスクです。
もちろん、元々のコンセプトが「ママチャリ」を目指すのでないなら、その限りではありません。

「乗り心地の為になるべく大きな車輪径にしたい、しかし、収納性を考えると小さい車輪径の方が有利」
この範疇で、適正な大きさはどれか??を悩むわけです。

5LINKSはその点で一つの判断・決定をしました。
その要点とは、
「電車の中に、車体を引き入れた時に、ドア口の近くではなく、座席の方に引き込みたい」
「つり革を掴んだり、少し電車が空いているなら出来れば椅子に座ったりしたい」
と考えました。
その結果、
「折畳んだ時の形状を、ゴルフバッグや、キャリーカートのような形にしよう」

外人観光客

「両足で、車体を挟み込めばつり革を握れるのではないか?」
と言う所から、靴のサイズを基本に、車輪の直径を設定しました。

すなわち、日本人男性の脚のサイズは平均25-6cm、よって靴の外側の長さは約30cm。
前後に、少しはみ出たとして30-40cm位で良いのではないか?
・アジア人向けには35cm(14インチ)
・欧米人向けには40cm(16インチ)くらいが適当ではないか?

5LINKSが当初14インチ、輸出販売も視野に入れた5LINKS2では16インチ車輪径になったのは、こういった理由からです。

展示会などで、一般のお客様に、
「5LINKSは小径車だけど、日本でいうカテゴリーの最大直径である20インチ(451)は作らないのか?タイヤの選択肢が増したり、走行性能がもっと良くなるのでは?」
「極小径車ファンなので、8インチ位のものを作らないのか?形が面白いのでは?収納容積がもっと小さくなるのでは?」
等の、御意見をいただきます。

その都度、真摯に対応をしている次第ですが、かような質問は、現在の5LINKSの「設計のコンセプト」が変わるほどの問題なのです。

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@「熊本地震」に罹災された方に、深くお見舞い申し上げます@

新緑です。
山梨に出張した際に、里山を撮りました。甲府郊外の公園で休息中の5LINKSも八重桜の前でご満悦です。

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さて、前回までの3回に続き、実際の5LINKSを開発時のデザイン条件設定を描いていきたいと思います。
5LINKS14/16では、
「日本の便利な軽快車・シティーサイクル(所謂ママチャリ)を、電車バスなどの公共交通機関に積載できるようになったら良いな」と言う所が発端となりました。
ママチャリは実に便利な乗り物です。
読者の中には、多くは「値段が安い」とか「街にあふれている」「地味」「趣味性が無い」などと言う事を理由に、「えー、ママチャリが5LINKSの原点なの??」という「自転車好きの輩」もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私は「ママチャリ」と言われる「日本の実用自転車」を大変尊敬しているのです。
こんなに素晴らしい道具が「ママチャリ」などという、少し見下されたような名称で呼ばれているところに悲しみすら感じます。
日本の社会の中で育まれ、この価格で、長い歴史に裏付けされた改良による利便性と、安全を担保できる自転車は、世界中見回しても、あまり無いのではないでしょうか?

ママチャリ

利点を挙げればきりがありません。
・価格がリーズナブル:1万円前後から5万円まで、多くの方が手軽に選択・入手できます。
・日本の土地にあった実用的な走行性能:実用時速は15-20kmでしょうか?
自宅から、もしくは職場から2-5km位の距離範囲を縦横無尽に走れます。
・乗り降りのし易いフレームデザイン:フレームが女性でも乗降に便利で、スカートでも乗車できます。
・実用的な積載性:前カゴや後荷台を工夫することにより、日常に必要な「荷物」や「子供」等の移動に活躍します。
・信頼のギヤ周り:日本のメーカーが長年の間に築き上げた、信頼性の高い駆動部を搭載し、長期間安全に使用できる。
・夜間ライトや、泥除け、チェーンカバーが取り付けられ、安心で服を汚さずに乗車できる。
等々です。
5LINKS開発では、小径や折り畳みの自転車では、この全ての条件は満たせないかもしれないけれども、なるべく日本の街の中で使いやすく、公共交通機関にも乗り降りがしやすいように、デザインを決めていきました。

すなわち、開発に当たり
走行に関し
・走行性能は「ママチャリ」並、もしくはトータルとしてそれを超える
・日本の道路事情(舗装路、歩道の段差など)を快適に走行できる
・搭乗者以外に積載が容易で10kg程度ものを積める
・ライト・泥除け等を付けられる
・街中で違和感のないデザイン(街に溶け込むデザイン)

公共交通機関積載に関し
・人前(街中)で素早く・目立たず「折畳・展開」ができる
・袋・カバー等の収納も簡便にでき、携行できる

・駅などで、担ぐことのないデザイン:できれば、車輪などで押し引きして移動できるデザイン
・押し引き状態で歩道の段差などでも安心して乗り越えられること
・最低限担がねばならない時の為に、なるべく軽い重量(10kg未満)

・車中で収まりの良い形態:接地面積が小さい事、車両への引き込みが楽なこと
・車中での保持が楽なこと:安定自立する、椅子に座れる

以上の条件を設定しました。

                                       続く

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営業を口実に、皇居千鳥ヶ淵に旧タイプ5LINKS14で寄ってみました。
桜は既に散り始めていましたが、散った桜で、路がピンク色の絨毯になっていました。
もう都心のソメイヨシノは終わりですね。

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前回、前々回に続き5LINKSの出生に係るお話。
大学を卒業し、社会人になると、自転車の活用はまた、趣味で遠ノリをするとか、通勤時に駅まで徒歩を補う道具となりました。

学生時代に総武快速線車内にロードレーサーを分解して搬入した経験をもとに、1993年に、「自転車のデザインコンペ」に応募しました。応募条件は「地球にやさしい近未来の自転車」と言う事でした。
私の応募作品のコンセプトは、「ロードレーサーの走行性を持ち、いざという時に「輪行」のように電車やバスに積載しやすい自転車」名付けて「FASTRAM」でした。
実態は、クロモリ製のロードバイクで、クランクをギヤ化して、チェーンを廃し、後ろ三角を省略したことで、両輪を外すとコンパクトにまとまるというものです。重量8kgでしたが、ホイールベースは85cmのショートホイールベースで、乗り心地は悪いと想像できました。
コンペでは「佳作」となり、5万円の副賞をいただきました。

コンペ1

コンペ3

コンペ2

30代になると、自分の中で一つの事件が起きました。そのころは住まいが杉並区になっていましたが、利用していた「JR荻窪駅」西側区民駐輪場が区民センター併設目的の建て替え工事をはじめ、数年間使用禁止になりました。
杉並区の対応処置としては、駅の東側の駐輪場を利用することを告知し、また駅前の50坪ほどの空き地に代替の仮設駐輪場を設置しました。
しかし、仮設自転車置き場は駐輪のキャパシティーが不足していた上に、東側の駐輪場は距離的に不便で、その結果、荻窪駅の南口は、違法駐輪(というジャンルになると思いますが)の自転車が、商店街や、駅脇の道路にあふれました。
当然商店街他の住民の苦情を入れ、区は、違法駐輪自転車をトラックで遠方の自転車集積場に移動し、引き取り者に罰金を科しました。
この時に私は、考察をしたのですが、自転車利用に関し、区行政や住民・利用者がもっとキチンと話し合いをすべきであり、自転車利用者側だけをバッシングしていたことに心を痛めました。
そこで、一つのアイデアとして、通勤用程度の走行性能の自転車を、通勤時の電車に積載することが容易にできれば、違法駐輪が減らせるのではないか?という事を考えました。
今ある「ジテツウ」(自転車で通勤)ではなく、「途中から自転車畳んで電車で通勤」というわけです。
この考えを発展させ、「(身一つをもとにした)徒歩」を中心とした「都市生活」から、「自転車利用」を中心とした新しい「都市生活」のライフスタイルが生まれるのではないか?と想像できました。

そんな想いから、当時販売されていた、折り畳みの自転車、主に小径の物をいろいろ探してみたのですが、私のような目的で利用できそうなものがなかなかありませんでしたので、それでは、自分で作ってみようと考えたわけです。

このことが、5LINKS14・16誕生のベースとなりました。

3回にわたり、自分の自転車とのかかわりを書いてきましたが、幼少の時はおもちゃとして100mの範囲で遊んでいた自転車ライフも、10代までに実用の為に10kmくらいになり、20-30代で、自転車だけの行動範囲は遊びとして半径50kmにもなりましたが、現在はまた生活の道具として、自宅から駅までの2-5kmくらいです。
私のこれまでの人生では、自転車は靴と同様に必要不可欠な道具となっています。
さらに現在では、自家用車や、バス、電車などの公共交通機関との共用がはかれる乗り物として、自分の中に発展性の有る乗り物として存在しているのです。

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